内部障害理学療法学

領域紹介 -内部障害理学療法学とは

内部障害とは、心臓、呼吸、腎臓など身体内部の臓器の障害、つまり呼吸循環代謝系の障害を指します。内部障害理学療法は、生活習慣病の予防を含めて、心不全や慢性呼吸器疾患、糖尿病などの患者さんが対象となります。内部障害理学療法学では、呼吸循環代謝系の障害についての医学的知識や治療技術を学びます。また、講義や演習、実習を通して運動生理学的なメカニズムについての基礎的な理解を深め、具体的にどのような人に対して、どのような運動療法や物理療法を行うべきかを考えます。近年では、これらの知識や技術を基盤として、アスリートの呼吸循環系の運動能力向上を目指すなど、内部障害理学療法学の活躍の場は広がりつつあります。

教員紹介

理学療法学科 講座?教員紹介

教授 片寄 正樹

高校生へのメッセージ

運動処方という言葉があります。安全に効果的に運動指導を遂行するという思いが込められています。内部障害理学療法では心筋梗塞などの循環器疾患や慢性呼吸器疾患、糖尿病、そしてがんの患者さんに対する、目的に応じた適切な運動指導について学びます。しっかりと運動処方ができる理学療法士になるための学びの場、ここにあります。ぜひ一緒に学びませんか。

准教授 岩本 えりか

高校生へのメッセージ

運動時に呼吸や循環がどのように調節されているか知ることは、リスク管理をした上で運動療法を行うためにとても大切です。呼吸や循環に障害をもつ患者さんが少しでも楽に運動できる方法や、アスリートの持久力向上など、目的に合わせた正しい運動指導をできるように一緒にがんばりましょう。

助教 根木 亨

高校生へのメッセージ

心臓疾患や呼吸器疾患の患者さんの数は、高齢化率の上昇とともに年々増加しており、内部障害に対する理学療法の重要性がますます高まっています。必威体育_必威体育app-平台*官网では、内部障害理学療法学やその基礎となる運動生理学が学べる環境を整備しています。皆さんとともに、これからの内部障害理学療法の発展に貢献していきたいと思います。

研究テーマ(教育活動、社会貢献活動)

1. 内部障害分野の啓発活動、社会貢献

運動生理学やスポーツ科学の研究者との研究会を開催することで、運動生理学やスポーツ科学などの先端的研究が、理学療法の基盤であることの普及、教育活動を行っています。また、内部障害に対する啓蒙活動や社会貢献として、道内の高齢者を対象とした血管機能の測定会の実施や、関連病院における呼吸器疾患を有する患者さんに対する運動負荷試験を実施しています。

2. 効果的な運動処方に関する研究

運動がヒトの呼吸循環反応に与える影響を、そのメカニズムから運動生理学的に明らかにすることにより、疾患を持つ方に安全で有効な運動処方を行うことが可能になります。我々は、理学療法で用いる介入が呼吸循環器系にどのような影響を与えるかを、超音波診断装置や呼気ガス分析装置、指尖での連続血行動態測定装置など最新の研究機器を使用して、運動生理学的な視点で理解を深める教育?研究を行っています。さらに、下半身陰圧負荷装置や寒冷昇圧試験を用いた交感神経賦活時の血管調節など、「運動時に活動筋に血流(酸素)がどのように運ばれているか」というメカニズムを解明することで、運動制限因子は何か、またその改善方法を研究しています。
授業の様子の写真1
授業の様子の写真2

3. 動脈硬化に関する研究

全身の血管はどこでも動脈硬化になる可能性があり、脳卒中や心筋梗塞など理学療法の対象となる疾患の多くが、動脈硬化に起因しています。さらに、呼吸器疾患や糖尿病の患者さんにおいても、動脈硬化が進行していること明らかになっています。このように内部障害と動脈硬化は繋がりが深いにも関わらず、「血管機能を改善させるための理学療法」という視点の研究は少ないのが現状です。我々は、四肢動脈(例:上腕動脈や大腿動脈)だけでなく、脳血管における動脈硬化を評価し、どのような介入(運動、電気刺激、温熱刺激など)を行えば改善できるかを明らかにしようとしています。
研究の様子の写真

4. 呼吸器疾患患者の運動制限因子に関する研究

 呼吸器疾患を有するヒトは重症になるほど認知症の発症率が高く、このメカニズムとして脳血流調節の異常が示唆されています。また、呼吸器疾患患者さんにおける呼吸筋疲労は、運動時に活動筋への血流を減少させてしまうことが近年報告されています。我々は、この呼吸筋疲労による血流再配分に脳血流も影響されるかを検討しています。また、呼吸器疾患を有するヒトで観察される動的肺過膨張という運動時の呼吸異常により、脳血流がどのように影響を受けるのか、また動的肺過膨張の改善方法を明らかにしようとしています。
研究の様子の写真

5. 糖代謝異常に関する研究

糖尿病により血管機能の低下が生じ、動脈硬化に繋がることは明らかです。しかし、近年我々は、糖尿病でない若年者でも、食後に一過性の高血糖を生じ、血管機能が低下するヒトがいること、またそれは食生活の影響を受けることを報告しています。この一過性の血管機能低下は、運動時の血管調節にも異常を生じさせるかを明らかにし、糖尿病の方に適した運動処方を明らかにしようとしています。さらに、学生が自身の糖代謝について学ぶための実技授業を行っています。
研究の様子の写真1
研究の様子の写真2

研究室ホームページ